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監督座談会

オール青山に期待すること。

〈まずは部員数を増やしたい。それが私たちの願い。〉

鈴木氏(以下敬称略)

青学は、初等部から大学までラグビー部が有る日本で数少ない学校です。これはラグビー部を強化していく上でも大きなメリットだと思いますが、正直青学ラグビーの目指す方向や教育・活動方針を共有しているとは言えない状況のように思います。それに関しては現場を預かる監督の責任ではなく、OB会の問題であるとは思います。このメリットを生かすため、特に高等部と中等部は一貫性が取りやすい環境にあると思うのですが、両監督はどうお考えですか。例えば高等部からはどのくらいの部員が大学ラグビー部に入りましたか?

依田氏(以下敬称略)

去年(2022年)は高等部から3名が入りました。今年の大学1年生です。

杉山氏(以下敬称略)

今の人数からすれば、よく入ったなと思います。

依田

5人しかいなかった代なので、5分の3ですね。

杉山

部員の半分以上がやろうとしているということですか。

依田

毎年だいたい、ひとりかふたりですから少ないですね。スポーツ推薦の学生たちに勝てないというのが、多分ネックになっているのだと思います。

杉山

現在両監督が取り組まれているように、段階を追っていけば、本人のモチベーションが上がって、強くなっていくことで「大学に行っても俺も負けない」という気持ちにも なっていくのではないでしょうか。すぐに一足飛びには、なかなか行かないですから。

依田

私の高校時代には、オール東京の練習会に行ったり、オール東京に選ばれたりして、強豪校の選手と一緒にやっても「大したことないな」と感じたこともありました。そういう体験をしたら、大学に行ってもやってみようかなという気持ちになるかもしれません。

杉山

大きな差を感じてやらなくなったりして(笑)、、、さほど差がないのに戦わないということのほうが残念ですよね。やってみたら大したことなかった、という相手もいるでしょうし。

依田

はい。あと大学で伸びる子たちもいますから。それはそれで、伝えてあげたい。どこで伸びるかわからないですから。

杉山

本当にお二人とも大変だと思いますが、提案としてはやはり部員の数を増やさなくてはならないということ。中等部からそのまま高等部まで続けてほしい。言うのは簡単ですが、実際は難しい。そのサポートをOBがしたい。初等部から、そして中等部から入ってくるのは何人くらいいて、どうしたらその数を増やすことができるのか、どういったことが課題なのかも知りたいですね。昔話をしてもしょうがないけど。やるのが当たり前だった時代のように戻すことができたら。たとえば、先日行ったような高等部と初等部のタッチフット「ラグビークリニック」のイベント。初等部の子供たちが高等部のお兄さんたちとラグビーをしたいとか、中等部とやりたいって言うのは、非常にいいきっかけだったかなと思います。

依田

直接触れ合うことが、一番いいと思います。できることからですが、この間のタッチフット「ラグビークリニック」もすごくよかった。スモールスタートで小さなことからと思うのがひとつ。あと昔とは時代が変わっているのが、情報発信の仕方。これからは初等部や中等部の保護者に向けて、どう発信していくのかが大事。子供たちもみんなスマホでSNSとか見てます。高中等部ラグビー部の活動、目指していることを発信していけば、もしかしたら外部でも青山学院高等部でやりたいというラグビースクールの子たちが出てくるかもしれません。学校側の制約を守りつつ情報発信が必要です。

杉山

そういう時代ですね。
高等部が強くなるというのが一番の情報発信になりますね。

依田

もちろんそうですね。

杉山

中等部の状況はいかがですか?

綿井氏(以下敬称略)

中等部から高等部へ、部員が上がっていかないと言うのは、色々理由は有ると思います。先ほど、依田監督が言ってましたが、まずは高等部のラグビー部ってどういうクラブで、何を目指して、どのような活動をしているのかを知らせること。例えば年間計画を立てて、この時期は合宿、大会があり、練習をこうやっていくと決めておけば、個人的な予定はそれに合わせて考えるようになるでしょう。先ほど話に出た、練習を休んで「美容院に行きます」という理由は通用しない。「(合宿のある時期に)夏休みだから家族旅行いきます」なんて、ありえないということに当然なっていくのだと思います。それが当たり前だと思いますし。そのためには「高等部・中等部があって、こういうクラブで、こういう子供たちを育てていく。だから一緒にやりましょう!」と、保護者を含めた説明会を開き、ガイダンスが必要。その上でふれあいの場があるといいのではないでしょうか。このクラブはいいクラブだと思ってもらえなければ、親御さんも子供を預けようとは思わないでしょうし、やはり部員は集まらないと思います。

杉山

それは中等部から高等部という見方ですね。初等部から中等部へ行く部員の人数はどうでしょうか。

綿井

コアラーズ出身は数名、外部生も入れて、10人入ってくれば御の字でしょう。

杉山氏

それは何が問題なのでしょうか?

綿井

色々あるとは思いますけど、まだ中等部のラグビーに魅力が十分でない、うまく伝わっていないのだと思います。

杉山

中等部でいいプレイヤーなのに、高等部ではラグビー部に入らないというのは、高等部に問題があるのか、中等部に問題があるのか?

綿井

両方かもしれません。

依田

そうですね。

綿井

私は(高校時代のラグビー部は)國學院久我山で育ちましたが、そもそも花園出場だけではなく、日本一を目指してみんな入ってきているので、その志の中で競争があって。仮に忘れ物などしたら、一生試合には使ってもらえない、というような緊張感がありました。それは今も変わっていないと思います。そういったところの部員たちを指導するのと、もちろん勝ちたいけれど、そこまで強い意思のない部員たちの指導では、違ったアプローチをしていかないといけないから難しい。ただ青学は青学の中で、この枠組みの中でできることが当然あるのだと思いますし、そこでみんなでチームビルディングということをきちんと決めて、部員たちと共有する必要があります。「ベスト4を目指そう」「関東大会に行きたい」 それを言葉で言うだけではなくて、実際にどうやるかでしょう。

杉山

綿井さんとしては、中等部の卒業生には高等部でも続けてもらいたいと思っていますか。それとも「依田監督もうちょっとこうしてくれないとうちの子達、高等部ではやらないかもしれない。高等部は、もう少しこのへんを変えたらどうですか」 ということがもしあれば。。。

綿井

もちろん多くの学生に高等部でもラグビーを続けてもらいたいですね。ただ、それには平日の練習を中等部生が見て、高等部は「すごい! 頑張っている! かっこいい!」 なんて思わせるところも必要なのかもしれないですね。でもやはりそれは高等部側だけでなく、中等部側にも多々あるので、お互いに高め合っていかないと、と思いますね。

杉山

キャプテンにキャプテンシーがある年は、雰囲気が違うと思いますし、依田監督の改革でかなり変わってきていると思うんです。すごい! 頑張っているというところを、中等部生に見せてあげられることも必要ですね。

依田

そうですね。

杉山

一歩一歩、情報共有していくことですね。逆に高等部から中等部に、例えば、「ここまでは、このパスだけは必ず仕込んでおいてください」「これもう少しやってきてもらえれば、高等部で育てやすい」というのはありますか。

依田

中等部から上がって来た子たちのレベルのギャップが大きいという点。同じ学年でもすごくできる子と全く試合に出たことがないという子のギャプがあるのを感じます。

杉山

そういう子がラグビー部に入ってくれるというのは、ある意味、試合に出られなくても続けるということですよね。それはそれで高等部の監督として受け入れてはいるけれど、高い子のレベルに合わせて入ってくれれば、理想的ということですよね。それはそれで上にいける。

鈴木

OB会は、約1,100人いる高中部ラグビー部のOB/OGと現役部員や監督、スタッフの架け橋となって、現役に対するOBの熱い思いと支援を届ける役割です。最後になりますが、両監督が高中部OB会に期待すること、求めることはありますか。

依田

今はコーチングスタッフのサポートを一番お願いしたいです。また昨年はコロナ禍にもかかわらず、夏合宿にはOBの方々に来て頂き、現役部員たちにとっても「これだけの人が応援してくれるんだ」と感じることが重要だと、改めて思いました。またいらっしゃることができるようになったら、合宿だけでなく、試合にも是非いらしていただきたいです。

綿井

もちろん今まで通り用具の支援というのは継続してやっていただければ嬉しいです。可能かどうかわからないですが、OB会として、学校側との折衝というのは、どうなのでしょうか。要は、枠組みのようないろんなことがもっと改善されれば、練習日数が増えたり、色々変わると思います。そういった話に、OB会が関わるこはできるのでしょうか。

鈴木

その辺はとても難しい。できること、例えば、いまの高等部部長の渡辺先生が私共の同級生でもあり、中等部の竹内顧問が中・高ラグビー部のOBであり、先生でもあります。そういう状況なので、色々な話は出来ると思います。そこは監督・コーチがやれることではないので、顔が広い杉山委員長にお願いしたいです。

綿井

監督がどこまで学校側との関係性が有るか分からないのですが。正直わたしは、中等部がこのラグビー部になにを求めているのかがわからない。学校の部活動なので、学校側の理解がないと。。。青学中等部のラグビー部に対する思いと、ラグビー部がしようとしていることが合わさっていかないとやっぱり指導は難しいと感じます。

鈴木

そうですね。特に中等部出身者ではない分、綿井さんは余計にそれを感じるのでしょうね。

綿井

どこまでやっていけるのか、不安もありますが、しっかり取り組んでいきます。

鈴木

そこは、OB会でもサポートしていきたいと思います。

依田

高等部は多分、クラブ活動自体に何かを求めているということはないでしょう。ですので、まずは自分達でラグビー部の価値を高めていかないと、学校側も乗ってこない。「クラブ活動をすることで、人間性が高まる」といった話など。

鈴木

いま進めていることを確実に進めていけば、学校側も「おお、ラグビー部の連中はちゃんとしているな」 というようなことに。その上で、我々も先生方とのコネクションを活かしていく。その結果、学校が認めてくれるでしょうね。

杉山

また、現在OB会としてお手伝いできることとすれば、初等部コアラーズはいま75人ほどの子どもたちがいます。下から上までいるコアラーズブランチOB会とも連携して、多くの初等部卒業生が中等部でラグビーを続けるような具体的なアクションを起こし、先生方も巻き込むことができたら。

綿井

期待したいですね。

杉山

まずはその点を協力していきますので。先ほど話にありました高等部と初等部のタッチフット「ラグビークリニック」の交流も、高等部の依田監督がおっしゃったように、触れ合う中で、あとは現役部員たちがどう感じるかは本人たち次第。また、先ほどの保護者への発信は、監督たちが指導しながらというのはなかなか大変なので、OB会も協力しながらできれば良いかと思います。いいヒントになりました。保護者が見るだろう、学生が見るだろう、というつもりで、魅力が伝わるよう発信策を我々も考えていきます。

【対談を終えて 鈴木副会長より】

コロナ禍の3年間、現役部員たちの活躍を見る機会をもてなかった中で、今回両監督の対談を通して、現在の高中部ラグビー部の状況や両監督の想いや考えを、多くのOB・OGの皆様にお伝えできたら幸いです。
両監督の対談を通じて、時代と共に現役部員を取り巻く環境やクラブ活動の在り方が、大きく変化していることもご理解頂けたと思います。また、練習時間の制約や、部員数の減少等、高中部ラグビー部の部活動も決して順調な状況とは言えません。その中で監督に就任して頂いた両監督や一緒に指導して頂いているコーチだけでなく、多くの高中部のOB・OGの方々が、高中部ラグビー部のために汗を流してサポートしてくれています。また、クラブ活動を陰ながら様々なサポートをして頂いている顧問の先生方の献身的な働きで、今、青山学院高中部ラグビー部は一歩ずつ前に進んでいます。OB会としてもOB・OGの皆さんと共に、まだまだ現役部員をサポートできることが、数多くあることもおわかりいただけたかと思います。
OB・OG皆様の寄付や応援が現役部員たちを育て、青山学院高等部・中等部のラグビー部を育てています。
『強い青学の復活』を目指して、今後も青山学院高中部ラグビー部、並びにオール青山へのご支援をよろしくお願い致します。