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OB会新体制発足 記念対談

Vol.1 オリンピックを終えて

〈二度のオリンピックを経て感じたチーム強化において重要なこと〉

小村会長(以下会長)

2016年のリオオリンピックでは、男子セブンスをヘッドコーチとして4位に導き、TOKYO 2020では男子セブンスは11 位という結果を残しました。オリンピック、とても楽しませて頂きました。大変お疲れさまでした。

岩渕氏(以下敬称略)

ありがとうございます。

会長

前回惜しくもメダルを逃しましたが、今回、どういった目標に向かって、戦略を練っていたのでしょうか。

岩渕

今回、選手もスタッフ含め、3位に入ることしか考えていませんでしたが、事前にチームの可能性を客観的に分析した結果、とにかく初戦をターゲットに勝てるか負けるかに賭けました。

会長

初戦のフィジー戦では1トライ差とあと一歩のところで残念でしたね。

岩渕

前回との違いは、(コロナ渦の影響で)国際大会などの試合を通じての強化できなかったということが、非常に大きかったと終わってみて思いました。チームをつくる上で、それは小学校でも中学でも高校でも大学でも同じことですが、ゲームで勝って自信につながり、負けて反省する。勝敗によって自分たちの位置がわかることも大事です。それができなかったことが。やはり強化できなかったということにつながったのかと。

会長

15人制では、来年は女子のワールドカップ、再来年はパリで男子のワールドカップが行われます。それに向けてのJAPANのチームづくりや今の位置というのはどういったものなのでしょうか。

岩渕

女子はすでに力をつけて来ており、2019年11月遠征では、当時ヨーロッパでトップ6位か7位のスコットランドに勝っているなど、非常にいいパフォーマンスをしています。7人制と15人制は違いがあるなど言われますが、やはり日本人はタックルしてから戻るとか、寝てから起きる、といった俊敏な動きを80分続けるという力が他の国より優れている。男子も女子もそこの部分では世界でトップクラスですし、それを生かせればそんなに変なゲームにはならないでしょう。男女共にベスト8を狙っていますが、女子のほうが早いと思われていた前回大会で、男子はベスト8入りしました。次回大会ではイングランドとアルゼンチンのどちらかに勝たないと日本はベスト8に上がれません。強豪のアルゼンチン、スコットランドですら前回大会ではベスト8に入りを逃した中、ベスト8に入ることは簡単なことではないと思いますが、そういうレベルで戦えるようになったということが、この10年で大きく変わったことだと思います。

〈女子選手が育つ要素は多様性と調和、青学ラグビーにはその環境が整っている。〉
会長

来年のワールドカップに向けて、女子が有望であるという中、日本代表に青学の生徒が3人選出されていますね。

岩渕

3人共(江渕まことさん、小西想羅さん、津久井萌さん、)中心選手としてプレーしていますし、ふたりは高校生から日本代表でトップクラスの選手です。今でこそ少しずつ変わってきましたけれど、ラグビーを女性がやる環境をなかなかラグビー協会としては整えられておらず、高校生でも大学生でも男子に混ざってプレーをしている状況です。なんとかその中で頑張ってくれたので今がある。15人制の選手として活躍していける選手でもあるのでワールドカップでは、ぜひ出場して欲しいですね。津久井さんは2017年のワールドカップで、ベスト15に入っている選手です。二十歳を過ぎたばかりで、これからもプレーはどんどんできますし、女子ラグビーを引っ張っていける選手だと思います。

会長

今回の東京オリンピック・パラリンピックでは、<全員が自己ベスト>、<多様性と調和>、<未来への継承>といった3つのコンセプトがありました。女子の選手をラグビー部が受け入れてる学校が少ない中で、青山学院は受け入れ、共生しながらやっているのが微笑ましい。まさに今、多様性と調和の大切さを感じている時代かと思いますが、女性の受け入れ態勢に関してはどうお考えですか。

岩渕

ラグビー協会としても、近々、ダイバーシティ(多様性を認め)とインクルージョン(受け入れて活かす)のステイトメントを出す予定です。小村さんもご存知の通り、ラグビー自体がいろいろなポジションがあって、体が大きくても小さくてもできる。我々はそうやって教えられてきましたし、今でもそうだと思います。一方でこれまでラグビー協会があまりそうでなかった。そもそもラグビーがそういったものなのに、協会や組織がそうでないというのは残念なので、少しずつ先進的な時代にあった取り組みをしていこうとしているところです。やはり母校は、幼稚園、小学校から共学ですし、積極的に進めていって欲しいと強く思っています。