Special

OB会新体制発足 記念対談

Vol.3 自立は武器になる

〈自律の精神を学び、継承すること。それが青学ラグビーの強さになる。〉

会長

なるほど。そのなかで、今後、青学ラグビーのチームづくりしていく上で、みんなが共有できるキーワードがあると、初中高大が同じポリシーのもとで強化できるし、結束力のあるチームになりますね。

岩渕

プレースタイルについてここで言ってしまうと、責任がありそうなので控えますが。わたしは青学でラグビーをやらせてもらって、すごくよかったと思っているんです。ラグビーだけをするという環境でいうなら、グランドが狭いとか練習をする時間もなかったなど、必ずしも良い条件ではない。おそらく日本代表になった中で、わたしがいちばん練習をしていない選手だったんですが。なのに何でよかったのかな、と考えてみると、初等部も中等部も高等部も大学も、コーチ陣をふくめて、「それぞれが自律する」ということを、言葉ではなく経験から教えてもらえたこと。結局のところ「自分たちで考えて、自分たちで行動していかなければならない」ということでした。高校のときにも、スタッフの方は土日に熱心に来てくださいました。それでもなかなか来られないときにどうしたかというと、三年生が案を出して練習をする。グランドの利用状況は当時もいまも変わらないと思います。(現在は、固い土から人工芝化された。)サッカー部や野球部が隣で練習していて、ボール飛んでくるような状況でしたから。そんなときに中等部と結託して、なるべくラグビー部がたくさん使えるようにする。普通にやったら無理だという状況下で、中学生や高校生の頃から考えてやるということが、すごい大事なことだと感じました。メンバー構成もほとんど自分たちで考えました。そういうひとつひとつのことが、いまの自分にはとてもありがたいと思います。

会長

青学ラグビーが成長させてくれたし、現在いろいろなポジションを担って行っていることに役立っているということですね。

岩渕

青山学院大学で、日本代表、あるいは代表クラスになっている選手は、中等部や高等部出身の選手のほうが多いかと思います。ラグビーに関して恵まれた環境の高校から大学に来て、これまで監督やコーチに言われたことをやっていたのが、自分たちで自主的に考えてやらなければならなくなる。強豪校から入学し、自主的なスタイルに順応できない大学1年生、2年生の選手も結構いると思うんです。でも高等部出身の選手はそういう訓練ができている。自分で考えて、行動していくという考え方は、小学生でも大切にしなければならないことです。

会長

「それぞれが自ら考え行動している(自律している)」ことを青学は武器にしなくてはなりませんね。

岩渕

ラグビーは80分の試合のなかで、選手が自分たちで考えなくてはならないところが大部分。そういうところで差をつけられるチームになっていければいいですね。

〈恥じるプレーや生活態度があってはならない、青学ラグビーの伝統と真髄がそこにある。〉
会長

グランドに出たら、自分たちが主役。「自律」するということですね。 6月に出演されたラジオを聞きましたが、忘れられない言葉、大きな力になった言葉として「いつでも誰かが見ていると思って、恥ずかしくないプレー、振る舞いをしなさい」という言葉を挙げていましたね。

岩渕

大学のときに日本代表に選ばれたのですが、その前の大学1年のときの菅平で痛烈に怒られたときに、教えられた言葉なんです。

会長

それは誰に?

岩渕

岡本(眞一路 *岩渕さんが中等部時代の監督)さんです。

会長

やっぱり岡本さん!そうだったんですね。

岩渕

小村さんのときは、めちゃくちゃ怖い方だったと聞いていますが、わたしたちのときは、全然怖くなかったんです。中学の頃から、怒られたことは全くありませんでした。優しい方で「いつも笑ってプレーしろ」とかしか言われたことがなかった。それなのになぜかわからないのですが、めちゃくちゃ怒られたんです。

会長

実は今年からOB会が新体制になって、「試合中の態度だけじゃなくて、日常生活でも恥じるような態度はよしとしないという生き方」が、我々青学ラグビーの真髄だということを謳っているのです。偶然にもラジオでお聴きして、いまこうして話すなかで、共通の教えをうけた岡本監督から、我々のスピリットが育まれていることを感じます。わたしも日常の生活態度になにか背筋をピンと張るようなことが必要だと常日頃感じています。中高生には「自律」をしながら自分というものがある人間になって欲しいし、その部分を大切にして、大学でも、社会人になっても飛躍して欲しいと思っています。